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「起業ブーム」の意外な落とし穴=岩尾俊兵

真の技術革新に「視野の広さ」必要

 世の中、「起業ブーム」だ。昨今は、起業セミナーやビジネスコンテストが乱立し、起業志望者と投資家とのマッチングの場が設けられ、学生起業がもてはやされる。就職情報大手マイナビが実施している「大学生就職意識調査」では、卒業後に就職しないことを想定した場合の選択肢として起業を希望する人の割合は、文理・男女の別を問わず、2001~20年までの20年間でおおよそ2倍に伸びている。

 もちろん、企業家(起業家)精神を持った社会人や学生が増え、そうした人たちに「起業が失敗しにくくなるような方法論」が提供されること自体は、社会にとって望ましいだろう。しかし、筆者の研究によれば、アイデアを持つ人(アイデアパーソン)と投資家がそこら中で出会うような社会では、むしろイノベーション(技術革新)が生まれにくくなるという本末転倒的な落とし穴がある。

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