教養・歴史書評

挿絵で見る清末の職業 たくましく生きた民の姿=加藤徹

 100年前、北京を訪れた芥川龍之介は、どの名所旧跡より、人通りが多い公園を面白く感じた。「別に何事もあった訣(わけ)にはあらず、只(ただ)人を見るのが面白かりしだけなり」(『北京日記抄』)。茶屋で茶をすすり、目の前を行き交うさまざまな職業の老若男女の庶民を観察する。「浮世絵の中にいる心(ここ)ちありと思うべし」。

 相田洋著『中国生業(なりわい)図譜』(集広舎、3500円)を開くと、芥川の気分にひたれる。本書は清末、19世紀の上海で刊行された伝説的な大衆紙『点石斎画報』の挿絵の数々を紹介しつつ、当時の中国のさまざまな職業を分かりやすく面白く説明する。

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