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世界経済をけん引する中国の失速=藻谷俊介

 実物経済の継続的な改善に、新型コロナウイルスのワクチン導入が加わって、世界各国の株式市場は約1年間にわたって上昇を続けてきた。このコラムでも、世界の景気回復の流れに日本人も早く気付くべきであることを、一貫して強調してきた。

 ワクチン接種率が抜きんでて高いイスラエルやイギリスの疫学データを見ると、ワクチンの効果が絶大であることが分かる。だが、日本の接種率は本稿執筆時点で1%に達しておらず、アフリカと同程度である。昨春の感染初期においては検査体制の確立、昨冬以降はワクチン接種体制の確立が、政府の果たすべきノルマだったわけだが、日本はそのいずれにも決定的に出遅れて、今また感染者の増加に悩まされ、コロナ悲観から抜け出せないのは嘆かわしい。

 さて、株価が描く世界経済の出口シナリオだが、死角はないのかとよく尋ねられる。世界経済がまだ当面は回復方向にあることは間違いないと考えているが、先行した中国経済の最近のスローダウンについては、その事実関係や程度を知っておく必要があるだろう。

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