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資源・エネルギー 鎌田浩毅の役に立つ地学

世界が驚いた「玄武洞」 「地磁気逆転」発見の舞台に/49

美しい柱状節理が見られる玄武洞(兵庫県富岡市) 筆者撮影
美しい柱状節理が見られる玄武洞(兵庫県富岡市) 筆者撮影

 兵庫県豊岡市には、国の天然記念物に指定された玄武洞(げんぶどう)がある。規則正しい六角形の柱が無数に集まって美しい景観を見せているが、地学的にも重要な研究がいくつも生まれている。これは火山学で「柱状節理」と呼ばれる現象で、今から160万年前に流れ出した溶岩が冷えて固まる時に作り出した造形美だ。

 玄武洞の名前は江戸時代の儒学者、柴野栗山(りつざん)が付けた。彼が城崎(きのさき)を訪れた際、ここの採石場跡を中国伝説の動物「玄武」にちなんで玄武洞と命名した。頭が蛇で体が亀の形をした妖獣だが、柱状節理による岩石の割れ目が、ちょうど亀の甲羅のように見えたからである。

 明治期になると東京帝国大学で岩石学を講じていた小藤(ことう)文次郎教授が、玄武洞を作る黒っぽい「Basalt」という岩石の和語を、玄武洞から採って1884年に「玄武岩」と命名した。

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