教養・歴史鎌田浩毅の役に立つ地学

地表の7割を覆う玄武岩 「枕状溶岩」で分かる地球の過去/50

静岡県大崩海岸に露出する1600万年前に噴出した枕状溶岩 筆者撮影
静岡県大崩海岸に露出する1600万年前に噴出した枕状溶岩 筆者撮影

 地球上で一番広い面積を覆う岩石は、玄武岩と呼ばれる黒っぽい色の火山岩である。地表の7割は海、また3割は陸からなるが、海底の岩盤はすべてこの玄武岩でできている。例えば、太平洋や大西洋の深海底にある「中央海嶺(かいれい)」では、玄武岩が大量に噴出して「地殻」を作っている。

 玄武岩は陸上にも見られ、上面が平坦(へいたん)な「溶岩台地」を作っている。インドのデカン高原、北アメリカのコロンビア川流域、南アメリカのパタゴニア地方などが有名だ。

 日本では、兵庫県の玄武洞、佐賀県の唐津、富士山などに広く玄武岩が存在する。玄武岩は地上に噴出すると薄く広がる性質があり、富士山の美しい円すい形はこうしてできた。さらに火星や金星にも多量に存在し、月の表面で黒くみえる部分は玄武岩の溶岩が流れた跡である。

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