資源・エネルギー鎌田浩毅の役に立つ地学

磁場逆転の地層「チバニアン」 地球史の一時代となった快挙/51

チバニアンの命名のもとになった千葉県市原市の地磁気逆転地層
チバニアンの命名のもとになった千葉県市原市の地磁気逆転地層

 地球のN極とS極は過去に何回も入れ替わってきたが、その最後の記録が千葉県市原市にある。今から77万年前に磁場が逆転していたことを示す地層で、世界の地質学者の会議である国際地質科学連合が「チバニアン」と呼ぶことを昨年1月に最終承認した。ラテン語表記に従った学術用語で「千葉時代」という意味である。

 地球の歴史は46億年に及ぶが、生物の繁殖と絶滅をもとに大きく時代分けされてきた。学校で習った「古生代」は生物の95%が大規模な火山活動などで絶滅したことで終了し、「中生代」は恐竜が宇宙から飛んできた1個の隕石(いんせき)衝突で滅びた時代である。

 これらの時代はさらに細分され、各時期の代表的な地層が露出する地名で呼ぶ決まりになっている。生物の大量絶滅や環境激変などの節目ごとに117の時期に分かれていて、三葉虫が海中を泳いでいた「カンブリア紀」や、恐竜が陸上を闊歩していた「ジュラ紀」のように、17世紀に近代地質学が誕生したヨーロッパの地名を付けたものが多い。一方、これらの地質時代の中で、まだ命名されていない時代が10ほどあった。

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