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週刊エコノミスト Online 学者が斬る・視点争点

SNSが途上国に広める農業技術=鈴木綾

アフリカの農家 筆者撮影
アフリカの農家 筆者撮影

鍵握るのは「インフルエンサー」

 発展途上国の貧困を緩和するには、多くの貧困層が生活の糧を得ている農業の生産を拡大することが不可欠だ。生産量を増やすには、投入材を増やす(耕作面積を広げるなど)か、あるいは生産技術を改良して生産性を上げるか、どちらかが必要になる。

 発展の初期段階では、主に前者の方法で生産量を拡大してきた。ただ、広大な土地があると思われがちなサハラ砂漠以南のサブサハラ・アフリカにおいても、人口増加によって1人当たりの耕作面積は年々小さくなり、この60年間で実に約63%減少した。一方で、1ヘクタール当たりの収量の増加率は80%程度。アジアでは同じ期間に1人当たり耕作面積が43%減少しているのに対し、収量は260%も増加している。アフリカでもアジアで見られるような生産技術の向上による生産拡大が求められている。

 では、どのように生産技術を向上させるか。土地や天候に適した農業技術や高収量品種の開発が重要なのはもちろんだが、既存の技術が導入されていないケースも往々にしてある。畑を水平に整地する、まっすぐに等間隔で稲を植えるなど、先進国から見れば当然と思われる方法さえ、採り入れていない村も多い。要因として、農家が置かれている市場環境や土地所有制度上の制約などが挙げられるが、「情報不足」もその一つだ。

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