小説 高橋是清 第144話 シベリア出兵=板谷敏彦
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欧州大戦後、是清らの積極的な金融政策により株式が高騰、日本経済は好景気に沸く。株成金が数多く現れる一方、物価高騰は止まらず、実体経済とかけ離れた株式バブルは1年で崩壊する。
まだ欧州大戦中の大正7(1918)年、ロシア革命によって、極東ロシア、つまりシベリアに軍事的空白ができた。
「20億円の軍資金と10万人の大和民族が流した血潮によって獲得された満州」
陸軍は日露戦争でロシアから譲り受け、対華二十一カ条要求で租借期限を延長したばかりの満州の地歩を固めるためにも、シベリア方面への進出の機会をうかがっていた。
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