週刊エコノミスト Onlineコレキヨ

小説 高橋是清 第144話 シベリア出兵=板谷敏彦

(前号まで)

 欧州大戦後、是清らの積極的な金融政策により株式が高騰、日本経済は好景気に沸く。株成金が数多く現れる一方、物価高騰は止まらず、実体経済とかけ離れた株式バブルは1年で崩壊する。

 まだ欧州大戦中の大正7(1918)年、ロシア革命によって、極東ロシア、つまりシベリアに軍事的空白ができた。

「20億円の軍資金と10万人の大和民族が流した血潮によって獲得された満州」

 陸軍は日露戦争でロシアから譲り受け、対華二十一カ条要求で租借期限を延長したばかりの満州の地歩を固めるためにも、シベリア方面への進出の機会をうかがっていた。

残り2462文字(全文2724文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事