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小説 高橋是清 第145話 シフからの手紙=板谷敏彦

(前号まで)

 軍部は統帥権をふりかざし政府の意向に従わず財政面でも無理を強いてくる。日本経済は大戦後の好景気に沸くが、物価高騰は止まらず、実体経済とかけはなれた株式バブルは1年で崩壊する。

 日本のシベリア出兵は、米国と同調したチェコ軍の救済名目で始まり、やがてロシア革命に対する干渉戦争となった。日本軍は米国や各国と協調してウラジオストクから進軍したような印象を持っている読者も多いと思う。

 しかし実態はそれに加えて、チタなど北満州・ザバイカル地方への出兵、朝鮮の民族運動制圧のための中国領間島地方への出兵、石油資源目当ての北樺太への出兵など、シベリア出兵というよりはシベリア戦争ともいうべき規模と空間と時間を伴ったものだった。

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