「物価が上がると景気が悪くなる」と悲観する人に欠けている視点=愛宕伸康
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原材料価格の上昇は景気改善の兆し=愛宕伸康
日本銀行が作成する「国内企業物価指数」が大きく上昇している。5月17日に発表された今年4月の前年比が3・6%上昇となり、消費税の影響を除けば12年半ぶりの高さまで上振れた(図1)。
背景は世界景気の回復に伴う資源価格の上昇だ。中身を見ると、「素原材料」の価格が前年比24・5%上昇まで跳ね上がっている。これを受け、企業収益ひいては日本経済に与える悪影響を懸念する声が聞かれ始めている。
確かに、個々の企業にとってみれば、原材料価格の上昇は粗利益率を悪化させる収益圧迫要因だ。設備投資や人件費の抑制につながる可能性もある。しかし、そもそも原材料価格が上昇している背景には世界景気回復に伴う総需要の増加がある。マクロ経済の観点から見れば、原材料価格が上昇したからといって景気が悪化すると決めつけることはできない。
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週刊エコノミスト
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