中国が「三人っ子政策」へカジを切った理由とは=岸田英明
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「三人っ子政策」へかじ 背景に少子化と高学歴化=岸田英明
中国が「三人っ子政策」に踏み切る。5月31日の共産党政治局会議で習近平総書記が明らかにしたもので、実施時期は未定だが、全ての中国人夫婦が罰則なしで子どもを3人まで持てるようになる。目的は人権の向上ではなく、習氏が「我が国の人口構造改善に利する」と語っているように、少子高齢化対応である。一方で中国の少子化の主要因は出生制限ではなく子育て・生活コスト高であるため、会議では「三人っ子政策」を「結婚、出産、子育て、教育支援を一体的に考慮」して進める方針が強調された。
中国が出生制限緩和を決める決定打となったのは、2020年に10年ぶりに行われた人口センサス(国勢調査)の結果だと見られる。主要データが公表されたのは21年5月だが、指導部は作業段階から報告を受けていたはずだ。それによると、20年の中国の出生数は新型コロナウイルス流行の影響もあり、前年比18%減の1200万人と過去最少を記録。合計特殊出生率は1・3で、人口維持に必要な2・1を大きく下回った。65歳…
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週刊エコノミスト
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