教養・歴史書評

実は日々の生活でできる 気づかせてくれた絵本=美村里江

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 コロナ禍に陥ってから、「欲」を持つことが少しつらくなった気がする。あれがやりたい、あそこへ行きたいと一瞬高揚してても、すぐに「いや、今は避けるべきだ」と自ら却下し、小さくため息を吐く日々。

 地球規模のそういう時期、と納得していたが、本書を読み意識が変わった。『海のアトリエ』(堀川理万子著、偕成社、1540円)。学校へ行けなくなった女の子が、母親の友人の絵描きさんに誘われ、海辺のアトリエで共に過ごす1週間。

 ずっと絵を描く。名前のないオリジナルの料理を作り、夕食後は本の時間。朝は自由な体操をし、朝食後は海へ行って風に吹かれ波を眺める。また絵を描く。近所の美術館で鑑賞。お互いの肖像画を描く……。

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