レストランの廃業、フライトキャンセル、輸送費上昇……深刻なポストコロナの人手不足=中園明彦
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飲食店、輸送旅客、工場…… 経済回復の裏で人手不足=中園明彦
米国でのコロナワクチン接種は、4~5月にすさまじいスピードで普及し、バイデン大統領は独立記念日までに大人の70%が最低1回ワクチン接種を終えることを目標に掲げていた。共和党支持者の接種率が低迷していることもあり、67%と未達成に終わった。
しかしCDC(疾病対策センター)が、所定の回数接種後2週間以上経過した「ワクチン接種完了者」は公共交通機関利用など一部の場合を除き、マスク着用不要とのガイドラインを出したことを受け、ほとんどの州が独立記念日を前に全ての制限を撤回した。
ワシントンDCも例外でなく、6月の中旬からほぼ全ての活動がパンデミック(感染爆発)前に戻った。筆者もいくつか小グループの会食に参加したが、握手・ハグが復活し、また社会的距離を保つことがなくなり、正直戸惑いを感じている。
全米で一気に経済が再開し、急回復を示しているが、それに伴い労働者不足があらゆる業界で問題となっている。6月末に発表された失業率は5・9%と、昨年4月の14・8%から劇的に改善した。
街に出て気付くのは多くのレストランがいまだ閉鎖していることだ。ある調査によると、全米で10・2%、ワシントンで14・8%のレストランが廃業を決めたらしい。平日の日中はもっと多くのレストランが閉まっていると感じるが、それらの入り口では「Now Hiring(従業員募集中)」の貼り紙が目につく。従業員不足で再開できないのだ。人手不足はファストフードを含めた飲食、ホテル、運送、航空といったサービス産業全般で見られ、製造業も業種によっては同様の悩みを抱えている。
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週刊エコノミスト
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