経済・企業

宇宙開発ヴァージン社 創業者乗せ高度86キロに 来年の商業飛行へ前進=鳥嶋真也

    試験飛行に成功したブランソン氏 (Bloomberg)
    試験飛行に成功したブランソン氏 (Bloomberg)

     宇宙旅行の実現を目指す米国の宇宙開発ベンチャー「ヴァージンギャラクティック(VG)」は7月11日、開発中の宇宙船による宇宙飛行の試験に成功した。創業者で英ヴァージン・グループの総帥リチャード・ブランソン氏(70)も搭乗。飛行前の訓練など、商業運航に向けた試験を自ら実施した。

     ブランソン氏らを乗せた宇宙船「スペースシップツー」の2号機「VSSユニティ」は、11日23時40分(日本時間)、ニューメキシコ州にある宇宙港「スペースポート・アメリカ」から、専用の飛行機に搭載されて離陸。12日0時25分、高度約1万5000メートルで切り離され、ロケットに点火し上昇。高度約86キロメートルの宇宙空間に到達した。その後滑空飛行し、離陸から約1時間後に着陸した。

     同社が目指すのは「サブオービタル飛行」と呼ばれる形式の宇宙飛行である。宇宙の入り口である高度80~100キロメートルまで行って、すぐに降下して帰ってくるというもので、宇宙にいられるのはほんの数分間だが、青い地球や漆黒の宇宙を眺めることができる。

    運賃2700万円

     同社は2004年の設立以来、スペースシップツーによる試験飛行を繰り返してきた。14年には1号機が墜落、副操縦士が死亡する事故が起きたが改良を経て試験を再開し、18年には初めて宇宙空間に到達した。

     乗客を乗せた商業運航は22年から始まる予定で、すでに米連邦航空局(FAA)から許可も取得している。また、商業運航のための改良型の宇宙船「スペースシップ3」の開発や試験も進めている。運賃については明らかにされていないが、1人当たり約25万ドル(約2700万円)とうわさされている。

     サブオービタル宇宙船をめぐっては、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏の宇宙企業ブルーオリジンも力を入れている。7月20日にはベゾス氏らが搭乗し、初の有人飛行試験を予定している。同社の宇宙船は、VG社よりも窓が大きいため宇宙旅行をより楽しめるほか、 緊急脱出装置があるためより安全で、地球環境への影響も最小限という。

     また運賃も、VG社と同等とみられており、一般人にはとても手が届きそうにない。しかし、日本でもサブオービタル宇宙船の開発が進むなど、世界的に開発競争は過熱している。

     航空機の歴史をひもとくと、最初の旅客機はわずか22分の飛行で、運賃は100万円に上ったが、開発競争や価格競争が進んだおかげで、今では桁が二つほど下がっている。宇宙旅行も同じように、開発競争や価格競争が進み、旅行者が増えるほどに価格が下がり、多くの人にとって手が届くものになるだろう。

    (鳥嶋真也・宇宙開発評論家)

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