東京都心で中古物件奪い合い=長嶋修
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東京都心で中古物件奪い合い/105
不動産中古市場が絶好調だ。6月の首都圏中古マンション成約件数は3262件と前年同月比5・0%増加し、4カ月連続で前年を上回った。一方、新規売り出し登録件数は1万3049件で19・2%減と22カ月連続して下回り、在庫件数も19カ月続いてマイナスという状態だ。
新規登録の売り出し物件が少ないのは、個人の買い替え需要が少ないためだ。理由は2点ある。
まず、マイホームを所有している層は既に立地や間取りについてある程度満足していること。次に、2012年12月の民主党から自民党への政権交代以降、自宅の資産価格は上昇を続けてきたが、同時に買い替え先の物件価格も上昇しているためだ。
不動産市場の値動きは以下のように考えられる。変化の胎動は東京都心3区(千代田、中央、港)、5区(加えて新宿、渋谷)など中心部・城南地域から始まる。これが世田谷・杉並両区など城西地域に波及し、次に北・荒川両区などの城北地域、そして墨田・江東両区など城東地域へと広がる。
もう少し拡大して見ると、まず火がつくのは東京都で、次いで神奈川、埼玉、千葉の周辺3県の順といった具合だ。
「の」の字で動く価格
つまり、最初に東京23区内で小さな「の」の字、同時に、あるいはやや遅れて1都3県でやや大きな「の」の字を描くといったイメージだ。首都圏の動きは数カ月から半年程度をかけて名古屋、大阪両圏など全国の大都市へ波及していく。
ただ、その波及の度合いは1990年前後のバブルや2008年のリーマン・ショッ…
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週刊エコノミスト
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