どんぶり勘定や元本保証が横行 中国の資産運用商品は正常化できるか=神宮健
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どんぶり勘定や元本保証の禁止 正常化に向かう銀行の運用商品=神宮健
資産運用業界の正常化とシャドーバンキング(主に規制逃れの迂回(うかい)融資)抑制を目指すルールの完全実施が年末に迫っている。
このルール(「金融機関の資産管理業務の規範化に関する指導意見」2018年発表)は、銀行の資産運用商品(理財商品)などについて「各商品のどんぶり勘定での運用の禁止」「商品を市場価格で評価する基準価額の導入(元本収益保証の禁止)」「『非標準化債権(迂回融資で利用される信託会社の貸し付け等)』での運用の制限」──などを定めた。新型コロナ禍の中、ルールの実施は企業などの資金調達への影響が大きいため、昨年7月、完全実施が当初予定の20年末から1年延期されていた。
猶予期間が延びる中、各銀行は、ルール違反の既存商品の処理を進める一方、ルール順守の新商品を発売してきた。銀行(銀行資産運用子会社を含む)の資産運用商品の全体の残高25・8兆元(438兆円=21年6月末)のうち、基準価額型商品は20・39兆元、全体に占める割合は約8割と18年末の3割弱から上昇した。
シャドーバンキングでも改善が見られる。銀行が資産運用商品で集めた資金の運用を見ると、迂回融資のルートとなることの多かった信託・証券会社などの各種資産運用商品での運用は、21年6月末で9・49兆元とこの3年間で2割強減少した。非標準化債権による運用割合も減っている(陳雨露人民銀行副総裁の説明)。
足元でも、改善に向けたルール整備が続く。第一に、6月に現金管理(キャッシュマネジメント)商品に関するルールが発表された。現金管理商品は、この3年で急増し…
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週刊エコノミスト
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