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一層鮮明になる日米の成長率格差 その原因とは…=斎藤太郎

行動制限で広がる米国との成長率格差=斎藤太郎

 2021年4~6月期は、米国が前期比年率6・6%の高成長となるなか、日本は同1・3%の低成長にとどまった。

 実質GDP(国内総生産)の水準を新型コロナウイルス禍前(19年10~12月期)と比べると、米国は0・8%上回るが、日本は1・5%下回っている(図1)。

 20年前半の実質GDPの落ち込みはロックダウンが実施された米国のほうが大きく、20年後半はほぼ同じペースで急回復した。20年10~12月期時点では、コロナ前と比較した実質GDPの水準は日本が米国を若干上回っていた。しかし21年に入ると、米国がワクチン接種の進捗(しんちょく)に伴う行動制限の緩和によって高成長を続けているのに対し、日本は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって経済活動が再び停滞し、日米の成長率格差が急拡大した。

 コロナ前と比較した21年4~6月期の実質GDPを需要項目別にみると、米国は純輸出が実質GDPを2・1%押し下げている一方、個人消費がコロナ前の水準を3・1%上回り、実質GDPを2・1%押し上げている。民間投資(住宅投資、設備投資)もコロナ前の水準を上回っている。

 一方、日本は政府支出が実質GDPを0・9%押し上げているが、個人消費がコロナ前の水準よりも2・4%低く、実質GDPを1・3%押し下げている。民間投資は21年4~6月期こそ高い伸びとなったが、依然としてコロナ前の水準は下回っている(図2)。

 このように、個人消費の動きの違いが、日米の成長率格差の主因となっている。財・サービス別には、財消費は20年4~6月期までは日米でほとんど差がなかったが、20年7~9月期以降の伸びは米国が日本を大きく上回っている。背景として、米国のほうがオンラインショッピング…

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週刊エコノミスト

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