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週刊エコノミスト Online チャイナウオッチ 中国視窓

巨大プラットフォーマー潰しではない 中国のネット業界指導強化の狙いは=岸田英明

テンセントなど巨大プラットフォーム企業への指導が厳しくなっている Bloomberg
テンセントなど巨大プラットフォーム企業への指導が厳しくなっている Bloomberg

プラットフォーマーへ指導強化 「共同富裕」など五つの狙い=岸田英明

 中国当局のインターネット業界、特に巨大プラットフォーム企業に対する厳しい指導・取り締まりが続いている。「独禁法違反でアリババに182億元(約3100億円)の罰金」(2021年4月)、「政府系メディアが『ゲームは精神的アヘン』と報じてテンセント株が暴落」(8月)などのニュースが連日報じられ、彼らと協業する外資企業の間に不安が広がっている。

 なぜ今指導が強化されているのか。それは、現政権が格差問題への対応に本腰を入れ始めたことや、国のデータ安全リスクが高まっていることなど、さまざまな状況が重なった結果だと言える。指導強化の目的は、(1)市場弱者の保護、(2)腐敗防止と格差問題への対応、(3)イノベーションの最適化、(4)社会風紀の向上、(5)国のデータ安全確保──の五つに整理できる。(2)~(4)は中国色がよく出ている。中国は欧米と異なり、トップダウンの強力な指導でプラットフォーム企業に変革を迫っている。

 (1)の市場弱者とは、消費者や労働者、零細・中小企業を指す。アリババへの巨額の罰金は、零細・中小事業者が多いEC(電子商取引)出店者に対し、同社が他社サイトへの出店を禁じる「二者択一」を迫っていたことが理由だった。(1)~(3)に通底するのは「プラットフォーム企業は正しくもうけ、正しくカネを集め、正しくそれを使うべし」という当局の発想である。

 彼らのドル箱事業である消費者金融やゲームを禁止まではしないが、規制をかけ、社会・産業的に有用な事業や研究開発に経営資源を回すように誘導する。また、地方政府との癒着や会計操作…

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