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アウトドアブームの中国 若者から海外ブランドが選ばれる理由は=岩下祐一

上海郊外の公園でキャンプを楽しむ人々 筆者撮影
上海郊外の公園でキャンプを楽しむ人々 筆者撮影

アウトドア市場が急成長 おしゃれ海外ブランド人気=岩下祐一

 中国の若者の間で、「グランピング」が流行している。グランピングとは、魅惑的なという意味のグラマラスとキャンピングを掛け合わせた造語で、整った設備と快適なサービスを楽しむキャンプのこと。ファッションにアウトドアテイストを取り入れるのがトレンドになり、日本ブランドが存在感を示す。地場のアウトドア関連企業も活発な動きを見せる。

 新型コロナウイルス禍の前後から、アウトドアを楽しむ若者が増えた。これまでは登山愛好家などがキャンプをするケースはあったが、一般の人はほぼ無縁だった。ところが、上海などの都市部の若者やニューファミリー層が、週末に郊外の公園などでキャンプを楽しむようになった。こうした公園には据え置き型のテントやキャンピングカーが置かれ、グランピングが楽しめる。

 ブームの背景には、物質的に豊かになった若者たちが、自然と触れ合えるアウトドアに注目していることがありそうだ。コロナ禍で海外旅行ができなくなり、地元で楽しめるアウトドアに目を向けている面もあるだろう。

 地場アウトドアメーカーは、このブームを一様に実感する。国内外でアウトドアブランド「ネイチャーハイク」を手掛ける浙江挪客運動用品の季剣明総裁は「市場の成長がここ数年、加速している。アウトドアがおしゃれになり、若者たちがSNS(交流サイト)でキャンプを楽しむ様子を積極的に発信している」と話す。

 上場企業である牧高笛の2021年1〜6月の業績は、国内のブームを受け、前年同期比で大幅増収増益だった。「国内市場のこの2年の変化は大きい」と同社の馮佳俊・用品事業責任者は言う。

 こ…

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週刊エコノミスト

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