歴史上の「もしも」描いた小説、マンガから見えるもの
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歴史の「もしも」を仮想し 希望見いだす力を養う=井上寿一
「歴史にもしもは禁物ですが」と前置きしながら、歴史の「もしも」を語ってしまうのが人の常である。「もしもあの時」と思考をめぐらせると、実際に起きたのとは異なる人生を垣間見ることができる。実際に起きた事実とは異なる想定をすること、すなわち反実仮想は人を引きつける。
他方で赤上裕幸『「もしもあの時」の社会学』(筑摩選書、1760円)が指摘するように、「風が吹けば桶屋(おけや)がもうかる」のことわざのとおり、反実仮想は結果の範囲が広くなりがちで、荒唐無稽(むけい)な思考実験に陥ってしまう。それでも同書は「新たな『気づき』や、『現在』と『過去』の積極的な対話が可能になる」と述べて、反実仮想の効用を認める。
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週刊エコノミスト
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