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教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

動く大陸&割れる大地/2 大西洋の中央に巨大な山脈発見/70

 地球上にある五大陸はもともと一つの巨大な陸地だった。それが分かれて、現在のような陸と海の配置が生まれた──。こうした考え方は「大陸移動説」と呼ばれ、1915年にドイツの科学者ウェゲナーが発表した。

 これはあまりにも常識を超えていたため、当時の学界から黙殺された。ところが、第二次世界大戦のさなかに大陸移動説が復活した。米国海軍がナチスドイツの潜水艦Uボートに対抗するため、大西洋の海底地形図を作り始めた。

 軍事上の調査であったが、思わぬ副産物が出た。大西洋の中央に高さ3000メートル以上の山が連なり、そこで地震が発生していたことが分かったのである。大西洋の真ん中に山脈があるので、「大西洋中央海嶺(かいれい)」と名付けられた。これに沿って地下では地震が頻繁に起きていた。しかし、海嶺に沿って何千キロもの長い距離にわたり、運動が絶え間なく発生する理由は全く不明だった。

 その後、60年代に入ると中央海嶺で大量のマグマが噴き出していることが分かった。大西洋の中央部に南北何万キロも続く火山山脈が存在していた。現在でも海底で溶岩が流れ出し、水中に熱水が盛んに噴出している事実が判明した。

 噴出した溶岩が固まって海底に広大な平たん面を作っている。科学者たちが溶岩の時代を詳しく調べると、中央海嶺から遠ざかるに従って、海底に噴き出た溶岩の年代が古くなることが分かった。

ウェゲナー説が復活

 最も古い溶岩は、南北アメリカ大陸とアフリカ大陸の近くの海底にあった。いずれも2億年以上という大昔に、ほぼ同時期にできた…

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