独次期政権、鍵握る緑の党と自民党 社民党躍進も連立の行方は混沌=熊谷徹
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9月26日のドイツ連邦議会選挙は社会民主党(SPD)と緑の党が躍進し、保守党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が得票率を前回(2017年)に比べて約9ポイント減らし敗退した。
SPDのショルツ首相候補は緑の党・自由民主党(FDP)との連立を目指す。CDU・CSUのラシェット候補も「過去には第2党が首班となった連立政権もあった」として、緑の党・FDPとの連立を希望している。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は9月28日付紙面で「ショルツ氏とラシェット氏のどちらが首相になるかを決めるのは、緑の党とFDP。両党は正式な連立交渉へ向けた予備協議に入った」と報じた。同紙はFDPのリントナー党首の「緑の党との間には、政策面で大きな隔たりがある。しかしドイツを改革するための原動力になりたいという意志は同じなので、協力が可能かどうかを探りたい」というコメントを引用している。両党が将来の財政赤字の扱い、エネルギー転換や富裕層への増税など経済政策での溝を埋められるかどうかが焦点だ。前回の選挙後にも連立交渉が行われたが、緑の党とFDPの対立によって決裂した。
ドイツの経済日刊紙『ハンデルスブラット』は9月28日付紙面で「CDU・CSUの得票率がSPDよりも低くなったのは、過去23年間で初めて。ラシェット候補は、有権者が投票行動によって彼の党を罰したことを理解し、身を引くことが筋ではないか」と指摘。同時に「ドイツは気候変動、貿易摩擦、高齢化などさまざまな試練に直面している。経済界では、SPD、緑の党とFDPがドイツ初の3党連立政権を作ることで、思い切った改革を…
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週刊エコノミスト
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