週刊エコノミスト Online不動産コンサル長嶋修の一棟両断

長くて3年後「バブル」清算?=長嶋修

国内外から投資マネーが入る日本の不動産市場(連載と写真は関係ありません)
国内外から投資マネーが入る日本の不動産市場(連載と写真は関係ありません)

長くて3年後「バブル」清算/113

 日本の不動産市場には今年からしばらく、国内・海外ともに大きな投資マネーが入ってくることが決まっている。理由は単純で「日本の不動産は割安感・安定感があるから」。私たち日本人から見れば違和感があるかもしれないが、グローバルに見ればこの通りだ。

 とはいえ、2012年の民主党から自民党への政権交代以降、ほぼ一本調子で価格上昇してきた日本の不動産。それを買って賃貸に回した際の収益性を見れば、天井感があるようにも見える。したがって今後の不動産投資は、インカムゲイン(定期的な収入)を主目的としたものは成立しにくく、代わってキャピタルゲイン(値上がり益)を期待した投資が幅を利かせることになるだろう。

「昨今は収益還元法といった評価手法があるから、理論値を超えた価格にはならない」といった意見もあるが、そうした理屈を超えるのがバブルだ。例えば、1億円のアパートがあり、年間家賃収入が700万円だと表面利回りは7%になる。しかし、資産バブル化のもとで、これが5%、3%でも買い手がつくというイメージだ。表面利回りが3%でいいのなら買値は3・3億円に跳ね上がる。

 なぜ、このようなことが起こるのか。用いられる理屈は大きく三つある。一つ目は「賃料上昇は後からついてくる」というものだからだ。年間700万円の賃料が上昇し、800万円とか1000万円になるだろうというわけだ。このような…

残り693文字(全文1293文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事