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10年金利を「財政赤字でも鳴かないカナリア」にした日銀の責任=愛宕伸康

 ニューヨーク連銀の2人のエコノミストが10月20日、「中央銀行の資産購入とインフレーションに関する国際的経験」という興味深い論考をブログに掲載した。

 中央銀行の大規模な国債購入はマネーストックの増加にはつながっておらず、インフレを助長するような家計や企業の支出を促していないという、日本銀行にとっては痛い内容だ。

 日本銀行が市中の金融機関から国債を購入すると、日銀のバランスシートの資産側で「国債」が増え、見合いの現金が負債側の「日銀当座預金」に計上される。このため黒田東彦総裁が異次元緩和を開始した2013年4月以降、日銀のバランスシートは資産側の国債と負債側の日銀当座預金が同時に膨らむかたちで大幅に拡大してきた(図1)。

 では、それによって金融機関がリスク資産の保有を増やしたり貸し出しを積極化したりする「ポートフォリオ・リバランス効果」があったかというと、全くなかったとはいえないが、2%の物価目標が実現するほどではなかったというのが現実だ。明らかなのは、ブログが指摘する通り、金融機関の「現金預け金」(つまり日銀当座預金)が日銀の国債購入と同じように膨らんだという事実だけである。

急がれる日本版CBO

 日銀は、長期金利の過度な低下という副作用を抑制するため、16年9月から10年金利を「ゼロ%程度」に誘導するイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を採用した。その結果、日銀の国債保有残…

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週刊エコノミスト

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