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22年の日本経済は緩やかに改善 成長軌道にはなお高い壁

 2022年の日本経済を展望すると「コロナ禍からの回復」が基本シナリオになりそうだ。主要金融機関やシンクタンク10機関の予想を平均すると、22年度(22年4月~23年3月)の実質GDP(国内総生産)成長率は3・2%。20年度実績(マイナス4・4%)を底に、21年度予想(2・7%)から緩やかな回復との見方が目立つ。

 22年の景気を占う上で鍵を握るのが、個人消費の回復だ。21年はコロナ禍前の水準に比べ6%程度下落。一方で、この間の行動制約で、家計に〝強制的にため込まれた貯蓄〟は、30兆円に迫る規模とみられる。この「強制貯蓄」がどれだけ消費に流れ出すかが焦点だ。

「成長と分配の好循環」を掲げる岸田文雄首相は11月26日の「新しい資本主義実現会議」で、22年春闘で「業績が回復した企業には3%超の賃上げを期待する」と述べ、消費喚起に効果的な賃金上昇に意欲を示した。岸田首相は来年度税制改正でも、企業に賃上げを促す優遇税制の拡充を目指す。

 一部の消費現場には明るさが戻っている。三越伊勢丹ホールディングスでは、11月の既存店売上高が前年同月比14・5%増え、3カ月連続で前年を上回った。「富裕層だけでなく、中間層が高額品を買うことが増えてきている」(広報担当者)という。

 一方で、株高など資産価格の高騰を受けて、通常の消費行動とはかけ離れた動きが顕在化している。高級腕時計の市場を見ると、その代名詞的ブランドであるスイスの「ロレックス」の人気モデル「デイトナ」は、定価(約145万円)で売る正規販売店では入手困難で、並行輸入品店では460万円と3倍の値が付く。

 都市部ではマンションの値上がりが顕著だ。調査会社の不動産経済研究所によると、10月に首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で発売された新築マンションの平均価格は1戸当たり6750万円(前年同月比10・1%増)と同月では過去最高値となり、通年でも同様の見通しだという。

 同研究所では人手不足や建築資材の高騰を背景に挙げている。「パワーカップルのような、限られた人たちしか買うことができない価格帯は持続しないだろう。早ければ来年にも下がり始める可能性がある」(業界関係者)といった先行き慎重な見方もある。

 コロナ禍の3年目は、緩やかな回復から繰り越し需要の爆発による“リベンジ消費”で景気が加速する可能性がある一方、カネ余りが生んだ局所的バブルが弾けて景気を冷やすリスクがくすぶる。(編集部)

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