教養・歴史書評

有用性超えた「エコノミー」 バタイユ思想を読む=本村凌二

 戦後を代表する経済学者である宇野弘蔵先生は若い頃、東北大学に勤めていた。同僚のドイツ人の哲学者と散歩していたとき、彼から「結局、経済学とは最小限の努力で最大限の利益をあげようとする学問だろう」と言われた。これに対して、先生は「結局、哲学とは最大限の努力で最小限の利益をあげる学問ではないか」と反論されたという。

 この笑い話には、佐々木雄大『バタイユ』(講談社、2750円)が凝縮されているかのようだ。副題に「エコノミーと贈与」とあるように、20世紀フランスの文学者・思想家であるバタイユの活動には、「エコノミー」を主題とする作品群がある。

残り653文字(全文923文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事