Z世代の消費者が台頭する中国で起きているファッション産業の変化とは=岩下祐一
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「Z世代」の消費者台頭で ファッション産業が変化=岩下祐一
中国で存在感を高めるZ世代(1995年以降生まれ)が、ファッション産業を変えつつある。地場の若手デザイナーブランドが支持される一方、ブランド志向は弱まり、ファッションの販売チャンネルはセレクトショップや、ショート動画配信アプリのライブコマースなどに移っている。デザイナーは、新しい時代に対応しようと模索を続けている。
2020年の新型コロナウイルス禍の後、大手ブランドが苦戦するのを尻目に成長を加速したのが、地場の若手デザイナーブランドだ。デザイナーブランドのセレクトショップへの卸売りや、小売りを手掛けるショールーム「レーベルフッド」や「時堂」が脚光を浴び、一部のブランドはこうしたショールームを通じ「(19年比で)売り上げを2〜3倍にした」(厦門(アモイ)理工学院副教授でデザイナーの陳宇氏)。
アリババ集団のネット通販サイト「天猫(Tモール)」が、今年10月20日から11月11日に実施した大型セール「双十一(ダブルイレブン)」も、デザイナーブランドの攻勢を映した。コストパフォーマンスの高い若手デザイナーブランドを集めた「ITIB」が、レディース分野で初めて売り上げトップとなった。昨年まで7年連続で1位だった「ユニクロ」を抑えての首位という快挙だった。
この背景には、消費者としてZ世代が存在感を高めていることがある。国家統計局によると、Z世代の人口は2億6000万人超で、総人口の2割弱を占める。この世代の21年消費額は、5兆元(85兆円)になるとの試算もある。
Z世代はインターネットが普及した環境で育ち、情報量が圧倒的に多いことから、「ブランドロイヤルティーが相対的に低い」と東華大学服装・芸術デザイン学院の羅競傑副教授は指…
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週刊エコノミスト
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