国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

なぜ中国は「デジタル経済協定」へ加盟申請したのか=真家陽一

    中国はデジタル経済でも存在感を増している Bloomberg
    中国はデジタル経済でも存在感を増している Bloomberg

    デジタル経済協定へ加盟申請 ルール形成の主導権を狙う=真家陽一 

     2021年12月、中国は世界貿易機関(WTO)加盟20周年を迎える。この20年間で中国の国内総生産(GDP)は世界第6位から第2位、物品貿易は第6位から第1位、サービス貿易は第11位から第2位に上昇しており、WTO加盟後、世界経済における中国のプレゼンスは大きく向上した。

     他方、中国のWTO加盟時には予想もし得なかった環境変化がデジタル貿易の発展だ。デジタル貿易が急速に拡大する中、WTOでは現在、電子商取引(EC)のルール形成に向けて有志国による交渉が進められているが、各国のスタンスには違いも見られる。

     日本貿易振興機構(ジェトロ)の『世界貿易投資報告2020年版』によれば、米国は自国企業の海外展開を後押しするため、デジタル市場の自由化を強く志向する。欧州連合(EU)は消費者の信頼がデジタル市場の発展に不可欠だとし、消費者保護や個人情報保護を含む信頼性の構築を重視する。他方、中国はインターネット主権という概念の下、政府によるデジタル空間への介入を正当化しており、ECの自由化にはさらなる議論が必要だと主張する。

     10月30日に開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にオンラインで出席した習近平国家主席は「中国はデジタル経済の国際協力を非常に重視しており、すでに『デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)』への加盟申請を決定した。各方面と力を合わせ、デジタル経済の健全で秩序ある発展を図る用意がある」と表明した。

     DEPAとはシンガポール、チリ、ニュージーランドの3カ国が20年6月に調印したデジタル分野の協定だ。王文濤商務相は11月1日、DEPAの寄託国ニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興相に書簡を送り、正式に加入申請を行ったと発表した。

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