マーケット・金融ワシントンDC

年間200人が事故死し、車被害は1億円に 米国ではそこら中にいるシカがもたらす被害=中園明彦

住宅街でもシカの存在を知らせる標識が 筆者撮影
住宅街でもシカの存在を知らせる標識が 筆者撮影

事故で年間200人が死亡 ひとごとでないシカ被害=中園明彦

 今日もまた道端からこちらを見つめている可愛い動物と目が合った。出退勤時、ゴルフ場との往復時、買い物に車で出かける時、特に夕方頻繁に会う。相手は「シカ」だ。

 米国は野生のシカがそこら中にいる。過去の動物保護活動も奏功し、数が増え続けている。ワシントンDC地区も例外でなく、「シカ密度」が全米でも有数の高さであるロック・クリーク公園がある。ゴルフ場に行けばほぼ毎回出くわすし、自宅の周辺でも頻繁に見かける。2020年にトランプ前大統領が新型コロナウイルス感染で入院したワシントン郊外のウォルター・リード米軍医療センターの敷地ではシカの大群を見たことがある。

 シカの増殖はさまざまな問題を引き起こしている。木々の若芽や花を食べてしまうため、森林が若返れなかったり、鳥や昆虫の生態にも悪影響を及ぼしている。

 そして最大の問題は、車との衝突事故の増加だ。保険会社によると、全米で毎年約150万頭のシカが衝突事故で死んでいる。さらに約200人が命を落とし約2万人がけがをしている。事故は、繁殖期の10~12月、朝方および日没後が多いと言われているが、通年終日発生している。路肩から突然飛び出してくるため、よほど注意していないと避けられない。シカは平均100キログラムにもなるため、衝突の衝撃は大きい。

 車のダメージも大きい。筆者の知人が以前ゴルフ場に向かう途中、シカに接触してしまった。その時は、車は動いていたためゴルフ場に到着できたが、帰路エンジンがかからず結局レッカー移動せざるを得なかった。

 全損も珍しくなく、事故のコストは平均4300ドル(約47万円)を超えるらしい。保険会社によると全米で年間90億ドル(約1兆円)のコストになっている。基本的…

残り608文字(全文1358文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月11日号

止まらない円安 24年ぶり介入第1部 市場の攻防15 亡国の円買い介入 財政破綻を早める ■編集部17 1ドル=70円台はもうない ■篠原 尚之 ドル高が揺さぶる「国際金融」 ■長谷川 克之18 円安 これから本格化する内外金利差の円売り ■唐鎌 大輔20 国力低下 米国の強力な利上げはまだ続く 円 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事