教養・歴史書評

列島改造、管理社会、アジア 1970年代に学ぶ=井上寿一

 今から半世紀前の1972年の日本では連合赤軍のあさま山荘事件、第1次田中(角栄)内閣の成立、日中国交正常化などのさまざまな出来事が起きた。これらの出来事が起きる背景となった70年代とは、どのような時代だったのか。

 杉田敦編『日本列島改造 1970年代 ひとびとの精神史 第6巻』(岩波書店、2750円)は、「列島改造」「管理社会」「アジア」をキーワードとして、この時代を多角的に描く。『日本列島改造論』の田中角栄と農民運動家出身の社会党の三宅正一は、同じ新潟の選挙区で「お互いに認め合う関係」だった。ふたりの関係は、政党の違いを超えて、都市と地方の格差の是正に取り組まなくてはならなかったことを示唆する。

 あるいはこの時代の管理社会化に抵抗した社会運動家たちの戦いに終わりがなかったことを知る。

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