大都市でロックダウンが相次ぐ中国 「ゼロコロナ」失敗で経済は失速へ=金子秀敏
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大都市で相次ぐロックダウン ゼロコロナ失敗で経済失速へ=金子秀敏
新年に入り中国では新型コロナウイルスの感染が急拡大した。陝西省西安市など大都市もロックダウンし、市民がスーパーに殺到、混乱が広がっている。
北京市に隣接する天津市も実質ロックダウンに入った。習近平国家主席が威信をかける北京冬季五輪開催への不安も出ている。秋の共産党大会で長期政権を目指す習氏にとって逆風が吹いている。
1月3日、米国の調査会社、ユーラシア・グループが「今年の10大リスク」を発表した。今年のトップは、中国の新型コロナウイルス対策「ゼロコロナ」が失敗し、中国経済が失速、世界経済も重大な影響を受けるという予測だ。
ゼロコロナとは、感染者を強制隔離して感染拡大を防ぐハードな防疫対策で、2020年の武漢市感染爆発で成果をあげた。徹底的なPCR検査によって感染者を発見すると、感染者の住む居住区の住民全員を接触者と見なして域外の隔離施設に移送したり、自宅で外出禁止にする。
西側諸国はワクチン接種によってウイルスとの共存を目指す「ウィズコロナ」政策をとっている。ゼロコロナは社会的経済的なダメージが大きいが、中国はゼロコロナのほうが民主主義国のウィズコロナより優れていると自負し、習主席の政治的な業績のひとつと自画自賛してきた。
だが、同グループはオミクロン株など最近の変異株にはゼロコロナ方式は有効でなく、ロックダウン拡大による経済失速のリスクが高いと予想する。
同グループの発表は米国時間の1月3日、中国時間では4日、北京冬季五輪開会式の1カ月前。中国では、昨年12月23日、西安市(人口1300万人)で新規感染者が急増しロックダウン宣言した。人口1000万人以上の大都市のロックダウンは武漢市以来、2年ぶりだった。
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週刊エコノミスト
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