中国当局から是正を求められたアントグループが進める業務改善の内容は=神宮健
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規定違反の業務に是正の動き アントグループは業務改善へ=神宮健
螞蟻集団(アントグループ)の業務の改善・整理が進んでいる。中国人民銀行などは2021年4月、アントグループに業務改善を求めた。同グループの決済業務(アリペイ)と貸し出しなどの他の金融業務が相互に組み込まれており、当局として業務過程の監督が難しいことが背景にある。金融持ち株会社の設立要求等を含む業務改善の指導のうち、規定違反の貸し出し・保険業務の是正については動きが見られた。
第一に、アントグループは21年6月に「重慶螞蟻消費金融会社」を開業した。資本金80億元、同グループの持ち株比率50%の消費金融会社で、傘下の少額貸付会社の貸し付けサービス「借唄」とオンラインクレジットサービス「花唄」業務を継承する。同グループの収益の柱であるこれらのサービスを維持拡大するため、現在、増資案が検討されている。
少額貸付会社は地方政府の金融監督部門下にあり、省をまたいだ業務の原則禁止が徹底される中で、インターネットを通じた全国ビジネスである「借唄」「花唄」は、商業銀行のネット貸し出しのルールが適用される消費金融会社で運営することにしたと見られる。
また、アントグループがビッグデータを利用して貸出先を地方の銀行などに紹介している場合は、「借唄」「花唄」ではなく「信用貸」「信用購」という別ブランドのサービスとすることで貸手が銀行であることを明らかにした。
第二に、アントグループ傘下のネット互助プラン「相互宝」が21年12月に、今年1月にサービスを終了すると発表した。
「相互宝」は、加入者が病気になった場合の支払いを加入者全員で等しく分担する互助プランである。アリペイの信用スコアが一定以上のアリペイ会員が一定の健康条件を満たせば無料で加入…
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週刊エコノミスト
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