年初から中国政府が景気対策に躍起になっているワケ=真家陽一
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年初から景気対策を総動員 今秋の党大会にらむ習政権=真家陽一
「我々は今、経済の合理的な成長を確保するため、的を絞った対策を講じなければならない」。中国の寧吉哲・国家統計局長は1月17日、2021年のマクロ経済統計の公表に関わる記者会見でこう強調した。
国家統計局によれば、21年第4四半期(10~12月)の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4・0%増と、第3四半期(4・9%増)から減速した。ただし、これは新型コロナウイルスの収束に伴い、6・4%増とV字回復した20年第4四半期との比較によるものだ。前期比ベースでは、0・7%増から1・6%増へ上昇しており、底打ちしたと見る向きもある。
そんな状況の中、22年の年初から中国政府は景気対策を躍起になって推進している。李克強首相は1月10日、国務院常務会議を主宰。(1)第14次5カ年計画(21~25年)で確定した重点プロジェクトの実施の加速、(2)21年第4四半期に専項債(地方政府がインフラ整備等の資金調達を目的に発行する債券)発行により調達した1兆2000億元(約21兆6000億円)の資金の具体的プロジェクトへの投入、(3)投資プロジェクトの審査・承認手続きの迅速化・簡素化──などを指示した。会議では「有効な投資の拡大は、上半期の経済の安定を確保する上で重要な意義がある」との指摘がなされた。
また、経済政策を担う国家発展改革委員会(発改委)は1月17日、春節(旧正月、今年は2月1日)などで伝統的に消費が旺盛になる時機を捉え、「消費促進活動の適切な実施に関する通知」を公布。オンライン消費の質の向上▽農村消費の開拓▽(冬期に関連した)氷雪消費の拡大──など10項目の消費促進策を提起した。発改委としては、2月4日…
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週刊エコノミスト
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