アメリカやオーストラリアからLNGの輸入を急増させる中国の狙いは=岸田英明
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米豪からLNG調達を増加 政治対立より合理性の判断=岸田英明
2021年の中国の液化天然ガス(LNG)輸入量は前年比18・3%増の7893万トンで、日本(7431万トン)を抜き、初めて世界1位になった。パイプラインでのガスの輸入も増えており、合わせると、この年中国はLNG換算で前年比19・9%増の1億2136万トンを輸入したことになる。
LNGの輸入元は1位の豪州(3140万トン、前年比7・8%増)と2位の米国(925万トン、同2・8倍)だけで全体の5割超を占める。伸び率ではLNG輸出能力を拡大させている米国と、東地中海でのガス生産が軌道に乗る10位のエジプト(132万トン、同22倍)が突出する。
21年は長期契約締結の動きも目立った。11月には中国石油化工(SINOPEC)が米国のベンチャー・グローバルLNGと年間400万トン、20年間の長期購入契約を締結。同契約は「過去10年間で国内の単一主体が海外で交わした最大、かつ中米間で最大規模、かつ中国石油化工が米国と交わした初のLNG長期契約」(現地経済誌)と注目された。ベンチャー・グローバルは12月までに中国海洋石油(CNOOC)とも毎年350万トンの販売契約を交わした。
米国の報道によると、米国のLNGサプライヤーは10~12月だけで中国の顧客と期間10年超のものを含む七つの販売契約を締結。英調査会社IHSの報告書によると、21年に中国が交わしたLNG長期契約は計2500万トンに達する(各契約の年間調達量の合算値と見られる)。
中国は「60年カーボンニュートラル」実現へ向け、1次エネルギー消費に占める非化石燃料比率を現在の2割弱から8割超へ高める目標を設定している。
脱石炭を加速
しかし、発電量の6割を石炭に頼る中国にとって、…
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週刊エコノミスト
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