国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

高級ブランド店に大行列 繁華街の人出が過去最多となった中国の旧正月=酒井昭治

大勢の市民でにぎわう中国・上海の繁華街 筆者撮影
大勢の市民でにぎわう中国・上海の繁華街 筆者撮影

旧正月の旅行者数は微減も繁華街には過去最多の人出=酒井昭治

 中国では春節(旧正月)を迎え、新たな一年が始まった。春節連休は中国人にとって最も重要な連休シーズンであり、帰省して家族と新年を祝うため、恒例の「民族大移動」が発生する季節だ。

 新型コロナウイルス感染を完全に封じ込めようとする「ゼロコロナ政策」を続ける中国で、移動制限強化の判断要因となる新型コロナの新規感染者は、昨年12月以降は内モンゴル自治区や陝西(せんせい)省などの内陸部や上海などの沿岸部、冬季オリンピック開幕を控えた北京など国内各地で相次いで発生した。一時は1日当たりの新規感染者数が200人に迫るも、濃厚接触者まで即座にPCR検査や隔離を実施するなどの防疫対策で、2月以降は50人以下まで低下した。

 ゼロコロナ体制維持のため、各地では不要不急の移動を控えるよう住民に求めた。昨年は中国政府が帰省せずに居住地で年を越す「就地過年」を推奨したこともあり、住民の間では「今年こそは帰省する」「不要不急の定義は何か」などの声が続々と上がった。

 呼吸器疾患の権威である鐘南山氏は「中・高リスク地域以外は低リスクであり、(マスク着用などの)防疫対策をしっかりと行う前提のもとで帰省は可能」と発言。また、一部都市で報じられた、一律的な外地からの来訪拒否など過度な防疫対策に対し、中央政府が「一刀両断」的な対応をしないよう要請した。

 これにより、コロナ感染者が発生していない地域からの来訪者であれば、スマートフォン内の健康QRコードで中・高リスク地域への訪問履歴がなく、かつ現地到着前の48時間以内に実施したPCR検査の陰性証明があれば、おおむね訪問が可能となるなど基準の整備が進み、上海市内でも病院などに設けられたPCR検査会場には連日長蛇の列…

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週刊エコノミスト

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