経済・企業独眼経眼

もしインフレ率が2%になっても長続きはしないと考える理由=斎藤太郎

消費者物価2%が現実になっても持続はしない=斎藤太郎

 「消費者物価2%」がいよいよ現実味を帯びてきた。

 資源価格の高騰を受け、川上段階の物価(輸入物価、国内企業物価)は約40年ぶりの高い伸びとなっている。川下段階の物価である消費者物価(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は、2021年12月時点で前年比0・5%の低い伸びにとどまるものの、食料品を中心に原材料価格上昇によるコスト増を価格転嫁する動きが広がっている。

 足元の消費者物価は、二つの特殊要因の影響を受けている。一つは携帯電話通信料の大幅値下げの影響だ。携帯電話通信料は、21年4月に大手各社によるスマートフォン向け低廉プランの提供開始により大きく下落し、その後も断続的に値下げされている。21年12月には前年比53・6%の大幅低下となり、コアCPI上昇率を1・5ポイント強押し下げている。

 一方、押し上げ要因となっているのが宿泊料だ。宿泊料は、20年7月から12月にかけて観光支援策「GoToトラベル」の影響で大きく下落していた。21年は「GoTo」が停止されていたため、7月以降、前年の反動で大幅上昇が続いている。12月の宿泊料は前年比44・0%の上昇で、コアCPI上昇率を0・3ポイント程度押し上げている(図1)。

エネルギーはまだ上がる

 先行きの消費者物価を大きく左右するのは、エネルギーと食料の価格動向だ。一時、1バレル=70ドル程度ま…

残り488文字(全文1088文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事