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教養・歴史 書評

「印は人なり」? 文豪と検印の関係に迫る興味深い一冊=楊 逸

「印は人なり」? 文豪と検印に迫る一冊

×月×日

 年明けて6日目、昼前から東京の空には牡丹雪が舞っていた。「瑞雪(ずいせつ)兆豊年」─良い雪が豊作なる年の兆しである─という中国のことわざを思い出すと胸に希望が大きく膨らんだ。

『文豪と印影』(西川清史著、左右社、2420円)を読む。

 日々の暮らしに、荷物の受け取りやら、金融機関での手続きやら、各種契約書類やら、何かと出番の多い印鑑。かつて文豪が持つそれは、もう一つ、「検印」という重要な役割を果たしたことをご存じだろうか。古本の奥付に捺(お)された著者の朱印がそれである。

「出版社が千部と言っておきながら、ちゃっかり二千部を売りに出していたりすることがないように」、著者に支払う印税(著作権使用料)に正確を期すために導入された制度だ。

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