教養・歴史書評

北京五輪の今年こそ読みたい。スポーツの視点で見る東アジア史=加藤 徹

五輪開催年こそ読みたい 政治に翻弄された歴史

 本来、スポーツは政治から自由であるべきだ。が、現実には国際大会は、生々しい政治的闘争の場となってきた。

 高嶋航『スポーツからみる東アジア史』(岩波新書、1034円)は副題に「分断と連帯の二〇世紀」とあるとおり、オリンピックを中心に、日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮などの国々のせめぎあいと交渉の歴史を詳述する。

 1936年、IOC(国際オリンピック委員会)は4年後の開催地を決める投票を行った。中華民国の委員は東京に1票を投じた。欧米外の初開催をアジアで、という連帯の表れだった。が、翌37年に日中戦争が勃発。中国は東京五輪ボイコットに転じた。40年の東京五輪は中止となり、幻となった。

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