法務・税務

ビッグ4トップにインタビュー① ITシステム、内部統制……リスク対応助言に特化した「リスクアドバイザリー事業本部」の収益が伸びている=監査法人トーマツ 國井泰成 包括代表

会計士 4大監査法人トップインタビュー 監査法人トーマツ 国井泰成 リスク対応特化の部署

 日本を代表する監査法人トップに働き方改革や成長戦略を聞いた。

(聞き手=横山渉・ジャーナリスト/編集部)

── 2021年5月期の売上高は前年比7.9%増の1236億円だった。

■監査業務に加え、非監査業務の伸びが貢献した。非監査業務の伸びは、決算業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)対応といったサービス提供が増えたことが要因だ。コロナ禍でリスクに対する意識が各企業で高まったことで、リスクマネジメント関連の需要が増えた。当社には大きく分けて、主に会計監査を行う「監査・保証事業本部」と、主に非監査事業を担う「リスクアドバイザリー事業本部」という二つの事業本部がある。リスク対応に焦点を絞った助言を行うための独立した部署を抱えているのは、大手の中でも当社ぐらいではないか。

── リスクアドバイザリー事業本部のビジネスモデルは?

■どの企業もさまざまなリスクを抱えており、それを一言で言えば、事業継続のためのリスクだ。例えば大手銀行でさえもシステムトラブルが起きたりする。起こさないためにどんなリスク管理体制が必要なのか、起こってしまった場合はどんな対策が取れるのかを助言する。

 当社が強いのは、ITシステム関連や内部統制などだ。最近多い相談はサイバーアタックに関するもので、これはグループ内の別会社で対応している。最近2年ほどで急速に相談が増えてきたのは気候変動対策だ。

── 「監査・保証事業本部」の事業は会計監査のみか。

■こちらの部署でも非監査事業を行っている。主に監査先ではない企業に、会計の知見を生かして助言している。日本会計基準の会社が海外企業の買収を検討する際に、国際会計基準(IFRS)上の助言を行う、といったことだ。

非財務こそ会計士に

── 企業の間で非財務情報開示のあり方が課題となっているが、公認会計士はどう関わっていくのか。

■会計数値という財務情報であれ、気候変動などの非財務情報であれ、「どのような情報を集めて、どこまで開示すれば十分なのか」「開示情報を客観的に証明して保証するにはどのような手続きが必要か」という仕組み作りには会計士が携わっていくべきだろう。そのような知見や、人員を有しているのは、監査法人しかない。

── 人工知能(AI)やDX導入が進む中で会計士にしかできない仕事は? 必要とされる資質とは。

■洞察力や将来を見通す力、コミュニケーション能力だろう。ネット由来ではなく、生の情報を集めるには人とのコミュニケーションが欠かせない。監査先との交渉にも必要な能力だ。以前は先輩や上司が若手と監査先に赴き、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)で監査先との交渉や調整を学んだが、コロナでそれができなくなった。ただ、それを補うツールとして、eラーニングの活用も進めている。交渉のトレーニングもできるし、かつてのツールに比べれば、かなり良くできている。

(国井泰成 監査法人トーマツ・包括代表)


 ■人物略歴

くにい・たいせい

 1985年等松・青木監査法人(現トーマツ)に入所、執行役東京事業部長を経て2018年6月から現職。

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