教養・歴史書評

実は大きく減っている若年非行。犯罪統計に基づき分析・検証=荻上チキ

減少著しい若年層の非行 統計に基づき分析・検証

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 浜井浩一『エビデンスから考える現代の「罪と罰」』(現代人文社、2750円)は、多くの犯罪研究書からも、さらに踏み込んだ一冊だ。犯罪統計を見る限り、現在の日本は戦後最も安全な社会となっている。一時期メディアは、「治安悪化」「少年犯罪の凶悪化」を声高に叫んだが、それらの言説は事実に反する。特に若年層の犯罪率低下は著しく、「少年の非行離れ」が進んでいる。「少年の非行離れ」が起きているのは、日本だけではない。欧米では共通して、2007年ごろ以降に非行の減少が続いている。その理由はいくつかあるが、一つには「スマホの影響」が挙げられている。

 オランダの研究者ベアハスらは、少年非行の減少の背景に「Can」「May」「Want」の三つのキーワードをめぐる変化が起きていると整理する。

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週刊エコノミスト

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