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教養・歴史 書評

韓国の自信が生んだ一時の平穏 関係悪化した日本への提言=井上寿一

 木村幹『韓国愛憎』(中公新書、946円)は、早すぎる自叙伝の形式を通して、1980年代末からの約30年間における日韓関係史の回顧と展望の著作である。

 自叙伝には過去の美化が忍び寄る。都合の悪い過去はふれられないことの方が多い。運命的な出会いを演出したくなる。

 本書はこのような自叙伝の欠点とは無縁である。運命的な出会いなどではなく、著者は「消去法」で韓国を研究対象として選択したと率直に語っている。

 89年の最初の韓国訪問は、心温まるエピソードで、独学で学んだ韓国語でゼミ旅行の案内役を務めながらの見聞が研究の原点になったようである。

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