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あんぐり開いた日米株価の「ワニの口」と政治不信の密接な関係=渡辺浩志

日米株価の開きの原因は「政治不信」にあり=渡辺浩志

 新型コロナウイルス禍を受けて急落した日米株価は、ともに回復したが、米国株価がコロナ禍前の水準を約3割上回るのに対し、日本株は1割にとどまる。

 特に昨春以降は日本株の上昇ペースが鈍化し、米国株との差が拡大した。二つの株価チャートを並べると、その形はまるで、あんぐりと開いたワニの口のようだ。

 原因の第一は、コロナ禍以降、米国で割安株と成長株の差が開いたことにある。日本株は米国の割安株と密接に連動しており、成長株がけん引する米国株全体の上昇から取り残された。

異次元緩和で為替離れ

 少し長い目で日本株の動きを振り返ってみよう(図1)。かつて日本株は、為替レートの動きに左右された。だが、企業が生産の海外移転を進める中で日本株は為替離れし、2017年を境に、米国株、中でも低成長な割安株と連動するようになった。

 17年が境目となった原因は、日銀が16年9月に異次元緩和を強化したことにありそうだ。日銀は国債を無制限に購入し、長期金利をゼロ%にくぎ付けにした。結果、長期金利が日本経済の実態を反映しなくなり、為替レートと株価とをひも付ける力を失ったようだ。

 17年以降、為替レートは日本のデフレ傾向を反映して円高基調となったが、日本株の方は価格決定のよりどころを失い、業績の動きが似通った米国の割安株にさや寄せするようになった。

 さらに、日銀が上場投資信託…

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週刊エコノミスト

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