「ショック」から戻った株価は「10合目」で停滞し、やがて下山する=藻谷俊介
ショックから回復も伸び悩む株価=藻谷俊介
世界全体の新型コロナウイルス新規感染者数は1月24日をピークに減少に転じ、金融市場にも一定の安心感が広がった。
残念ながら日本はまだピークアウトしておらず、先月の本欄(1月25日号)で懸念したように初期対応の甘さが尾を引いている。幸い都道府県の対応と国民の反応によって、足元の人流は緊急事態宣言時並みに減少しており、遠からず日本も危機を脱すると考えられる。しかし、1日当たり死者数が既に150人を超え、デルタ株期の最高値である89人(9月8日)を大きく上回ってしまったことは、専門家がオミクロン株の弱毒化を過大評価した結末として、事後大いに検証されるべきだろう。
一難去りつつあるとはいえ、世界の株式市場では金融引き締めなどを見越して、慎重な動きが続いている。図1は、主要17カ国の株価指数をGDP(国内総生産)でウエート(重み)を付けて一本にまとめたスフィンクス世界株価指数の波動成分を抽出したものである。経験上は10合目〜0合目の間で株価は波動するが、時折ショックに相当するレベルまで下がることがある。
下がるにはまだ早い
昨年を見ると、後半は10合目の線に張り付いて動かなくなっている。これに近いのが2010〜11年だ。両者に共通するのは、その前にショックレベルまでの深い谷(リーマン・ショックとコロナショック)があるところだ。
言い換えれば、非常に激甚…
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週刊エコノミスト
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