米国の「高インフレ」が一筋縄ではいかない理由=愛宕伸康
有料記事
米国の物価上昇をけん引する「家賃」=愛宕伸康
米国のインフレ加速が止まらない。1月の消費者物価指数(CPI)の伸びは、総合指数が前年同月比7・5%(前月は7・0%)、食料品とエネルギーを除くコアが前年同月比6・0%(前月は5・5%)と、大幅に拡大している。
品目別では、エネルギーが3割程度の伸びを維持しているほか、ウエートの大きい家賃をはじめ、食料品や新車、中古車・トラックが伸びをけん引している。
実勢を正確に見るには前年比より、季節調整済みの前月比を見るのがよい。米国では、前月比の方が注目度が高い。図は、その米国コアCPIの前月比の推移、表は主な品目の詳細である。実は米国のコアCPIの伸びはコロナ前の10年間(2010年から19年まで)、平均値である0・15%近傍で安定的に推移してきた。これを年率に換算すると1・9%となるので、前年比で言えばほぼ2%ペースの伸びということになる。
この安定した物価上昇をもたらしていたのは7割以上のウエートを占めるサービス価格だ。財の価格の伸びは前月比0%の周りを激しく変動しているのに対し、サービス価格は平均0・2%程度(年率2・5%)という高い伸び率の近辺で安定的に推移してきた。
その背景として、賃金の伸びやサービス分野の生産性の高さを想起しがちだが、実はサービス価格の伸びを支えてきたのは、コアCPIの4割、サービス価格の5割を占める家賃である。…
残り505文字(全文1105文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める