投資・運用不動産コンサル長嶋修の一棟両断

歴史は繰り返さないが韻を踏む

バブル期末に流行したディスコ「ジュリアナ東京」
バブル期末に流行したディスコ「ジュリアナ東京」

歴史は繰り返さないが韻を踏む/131 

 米作家マーク・トウェインの「歴史は繰り返さないが韻を踏む」といった名言にならえば、現在の状況は、1980年代後半から90年初頭にかけてのバブル期と似た状況とでも言えばいいだろうか。

 戦後の長期的な高度経済成長を経て一定程度、モノやサービスが行き渡った後で経済成長が鈍化する中、85年のプラザ合意で一気に為替がドル安・円高へと進んだ。当時、自動車や家電製品をはじめとする商品を中心とした輸出立国を標ぼうしていた日本経済で、1ドル=240円程度だった円が150円に、やがて120円台へと一気に動き、株式市場はパニック気味になった。我が国の輸出が滞る可能性が必至であることから「円高不況入りか?」といった、当時としては絶体絶命ともいえる危機意識がもたらされ、それを回避すべく大規模な財政出動や金融緩和が行われることになった。

 それが当時の、あのものすごいバブルを生み出すきっかけとなった。当時は「バブル」といったワードもほとんど聞かれず、そもそもバブルの経験すらなく、念頭にない事象の発生はそもそも恐れることすらできず、むしろ不景気突入への恐怖が先立っていたものだ。

残り846文字(全文1346文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月10・17日合併号

EV戦争202314 BYD、実質253万円の黒船EV 圧倒的な低価格で日本に照準■稲留正英17 トヨタのEV戦争 ソフトと製造の競争力確立が急務■中西孝樹23 中国で日本車苦戦 大衆車市場でシェア落とす■湯進26 急成長テスラ サイバートラックは予約200万件 ■土方 細秩子28 日本車への警鐘  [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事