歴史は繰り返さないが韻を踏む
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歴史は繰り返さないが韻を踏む/131
米作家マーク・トウェインの「歴史は繰り返さないが韻を踏む」といった名言にならえば、現在の状況は、1980年代後半から90年初頭にかけてのバブル期と似た状況とでも言えばいいだろうか。
戦後の長期的な高度経済成長を経て一定程度、モノやサービスが行き渡った後で経済成長が鈍化する中、85年のプラザ合意で一気に為替がドル安・円高へと進んだ。当時、自動車や家電製品をはじめとする商品を中心とした輸出立国を標ぼうしていた日本経済で、1ドル=240円程度だった円が150円に、やがて120円台へと一気に動き、株式市場はパニック気味になった。我が国の輸出が滞る可能性が必至であることから「円高不況入りか?」といった、当時としては絶体絶命ともいえる危機意識がもたらされ、それを回避すべく大規模な財政出動や金融緩和が行われることになった。
それが当時の、あのものすごいバブルを生み出すきっかけとなった。当時は「バブル」といったワードもほとんど聞かれず、そもそもバブルの経験すらなく、念頭にない事象の発生はそもそも恐れることすらできず、むしろ不景気突入への恐怖が先立っていたものだ。
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週刊エコノミスト
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