映画 TITANE/チタン 度肝を抜く身体描写の連続 新鋭女性監督が描く女の闘い=野島孝一
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映画を見終わって、しばし口もきけない──。それほどの衝撃を受けた。第74回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)が、このような刺激的な作品だとは、まったく予想できなかった。しかも監督は、「RAW 少女のめざめ」(2016年)でデビューし、これが長編2作目という新鋭のジュリア・デュクルノー。若い女性監督が、このようなすさまじい映画を撮ったのか、と信じられなかった。もっとも初監督の「RAW」も若い女性のカニバリズム(人肉嗜食(ししょく))欲望をテーマにした異常な感覚の映画で、公開時に拒否反応を示す人もいた。
かなりのスピードで飛ばす車。父親が運転し、娘が後部座席にいる。父親は思わずうとうとする。少女は後ろから座席を蹴る。父親が「やめろ!」と怒鳴ると、少女はシートベルトを外して、荷物が置いてあるさらに後部へ移ろうとする。その瞬間、車はスピンしてガードレールに激突する。
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週刊エコノミスト
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