高齢者人口が2億人を突破した中国 政府が示した社会保障整備の中身とは=真家陽一
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高齢者人口が2億人を突破 社会保障整備が喫緊の課題=真家陽一
中国で少子高齢化が加速している。国家統計局によれば、2021年の出生数は前年比138万人減の1062万人と、17年以降5年連続で減少。人口1000人当たりの出生数を示す出生率は7・52となり、統計で確認できる中で過去最低となった。
少子化の主因は1979年から導入された、いわゆる「一人っ子政策」にある。同政策により人口増加は抑制されたものの、少子高齢化の弊害も顕在化してきたことから、中国は16年1月より2人目の出産を認める「二人っ子政策」を施行。21年7月には「三人っ子政策」を実施する方針を打ち出した。しかし、政策転換にもかかわらず、出生人口の減少に歯止めがかからない状況が続いている。
その背景について、国家衛生健康委員会人口家庭局の楊金瑞副局長は「出産適齢期の女性の人口減少、若者の結婚・出産観念の変化、出産・育児・教育コストの上昇に加えて、新型コロナの感染拡大も一定の影響を与えている」と指摘。その上で、楊副局長は「三人っ子政策も短期間で顕著な効果を上げることは難しい」との見解を示した(『新華社』22年1月21日)。
他方、平均寿命が15年の76・3歳から20年には77・9歳に延びたこともあり、21年の65歳以上の高齢者の人口は992万人増の2億56万人と初めて2億人を突破。高齢化率は14・2%と20年の13・5%から0・7ポイント上昇し、中国は「高齢化社会」から「高齢社会」に突入した(世界保健機関〈WHO〉によれば、高齢化率が7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会と定義される)。中国政府は第14次5カ年計画期(21~25年)の5年間で平均寿命をさらに1歳引き上げる目標を打ち出しており、高齢化…
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週刊エコノミスト
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