【ウクライナ侵攻】日本企業に突き付けられる「台湾有事」のリアルなシナリオ=岸田英明
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ロシアショックに揺れる外資 日本企業に迫る「台湾有事」=岸田英明
ロシアのウクライナ侵攻後、外資企業の間でロシアビジネスを解消、停止、縮小させる動きが広がった。各国の対露制裁の影響で物流や為替、送金が不安定化した影響もあるが、中には戦争への抗議や、もっとはっきりとロシア批判を打ち出して撤退を決めた企業もある。一方、ロシア政府はこうした外資の資産差し押さえを警告。一連の動きは、「有事下のビジネス」を考える上で多くの示唆を提供している。
今回、早い段階で踏み込んだ動きを見せたのが米石油大手エクソンモービルだ。ガス・原油プロジェクト「サハリン1」の操業停止プロセスの開始と新規対露投資の凍結を伝えた声明(3月1日発表)の中で、「ウクライナの人々を危険にさらしたロシアの軍事行動」への懸念を明確に示した。
同社の撤退宣言は、他の外資の行動の呼び水となった。その後ロシア事業の停止や縮小に動いた外資企業は小売り、飲食、金融、物流、自動車、電子機器、動画配信など幅広い業界に広がった。
ロシアへの巨額の資金供給を伴うエネルギービジネスと比べ、本来小売りや飲食業などはレピュテーション(評判)上の問題は小さいはずだった。しかし、スウェーデン衣料品大手H&Mが「平和を求める世界の人々とともに行動する」との声明とともにロシアで展開する全170店舗の営業を停止するなど、これらの業界でもいくつかの企業が率先して行動した。
その一方で、「事業継続」の判断をした外資に対する投資家などからの風当たりは強まっていった。ソ連時代に進出し、ロシアで850店舗を展開している米マクドナルドは戦争当初は静観していたが、批判の高まりを受け、8日に全店舗の一時閉鎖を発表。また、一度は「衣類は生活必需品」として事業継続の方針を示し…
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週刊エコノミスト
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