国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

GDP成長率は「強気の目標」 政策支援で「安定」を最優先に=酒井昭治

 中国代表団が過去最多のメダルを獲得するなど成功裏に閉幕した北京冬季オリンピックの熱気冷めやらぬ中、北京では年に1度の重要会議である全国人民代表大会(全人代)が3月5日に開幕した。ウクライナ情勢の勃発など世界経済の見通しに不透明感が漂う中、中国政府による政治経済の運営方針に注目が集まった。

 全人代では、会期初日に国務院総理が昨年1年間の経済運営の実績と今年の目標数値を明示する「政府活動報告」がハイライトとなる。その中で発表された今年の国内総生産(GDP)成長率目標は5・5%前後とされ、「5%以上」や「5・5%前後」との事前予想が広がっていた中では予想の上位に近く、中国内でも「強気の目標」との見方が多い。

 過去数年のGDPの推移を見ると、新型コロナのまん延が本格化した2020年は、世界の主要国がマイナスに沈む中で2・2%とプラス成長を維持。前年のハードルの低さから、21年は8・1%と高成長を記録した。各種経済統計の前年比が新型コロナ後は大幅な変動となるため、政府は20年と21年の2年間平均成長率を算出している。20年以降の2年平均GDP成長率は5・1%となった。これらの数字と比較すると、22年の成長率目標は、安定成長ペースを回復するというメッセージが読み取れる。

 ウクライナ情勢の動向や商品市況の高騰による景気鈍化懸念、米国を中心とした金融政策の正常化進展など外需への不透明感が高まるなか、目標達成のためには内需強化がより重要となる。

 景気下支えの柱として期待されるインフラ投資に関連した目標としては、各地方政府がインフラ建設などの事業目的別に発行する特別地方債券である「専項債」の年間発行枠が、昨年の目標と同規模となる3・65兆元(約66兆円)と設定された。インフラ建設は、全人代を終…

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週刊エコノミスト

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