「戦後」は終わっていない。空襲被害者への無関心を告発する一冊=井上寿一
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大空襲の被害者切り捨て 終わらない日本の「戦後」
戦争の記憶に関連して、8月6日や8月9日、8月15日が何の日かは説明を要しない。それでは3月10日はどうか。すぐには思い浮かばないかもしれない。1945(昭和20)年3月10日の未明、東京の下町を中心に、B29爆撃機の焼夷(しょうい)弾が豪雨のように降り注いだ。犠牲者は10万人とも言われている。
この東京大空襲を知る上で、2012年の刊行ではあるものの、NHKスペシャル取材班『ドキュメント東京大空襲』(新潮社、1540円)は欠かせない。テレビ番組の「NHKスペシャル」に基づく本書は、当時、発掘された未公開写真583枚などを通して、東京大空襲の全体像を明らかにしている。
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